太陽光パネルを相続したら?名義変更の手続きと必要書類を行政書士がやさしく解説
不動産や預貯金の名義変更は、ひととおり終わった。でも、亡くなった親が持っていた太陽光パネルは手つかずのまま。そんな状態になっていませんか?
太陽光発電設備には、国から受けた「認定」(FIT・FIPの売電の権利)がついています。この認定の名義は、亡くなった方のままでは自動的に変わりません。
結論からお伝えします。相続した太陽光パネルは、国への「事後変更届出」という手続きで名義を変更します。売買のときに必要な住民説明会は、相続では必要ありません。
この記事では、親の太陽光パネルを相続した方に向けて、手続きの流れや必要な書類、つまずきやすいポイントを、太陽光の名義変更を専門に扱う行政書士が絞って解説します。
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太陽光パネルを相続したら、国への「届出」が必要です
太陽光パネルを売買したときは、国に「変更認定申請」を出して、認定をもらい直す必要があります。一方、相続の場合は、変わったことを後から届け出る「事後変更届出」です。
届け出るのは、太陽光パネルを引き継いだ相続人(新しい事業者)ご自身です。
| 売買・譲渡 | 相続 | |
| 国への手続き | 変更認定申請 | 事後変更届出 |
| 住民説明会・事前周知 | 設備によって必要 | 不要 |
放っておくとどうなる?
法律では、名義などが変わったときは「遅滞なく」届け出ることになっています。「何か月以内」という期限の数字はありません。とはいえ、後回しにしないほうが安心です。
資源エネルギー庁も、名義などの変更手続きを怠ると、行政処分の対象になることがあると注意を呼びかけています。
実務の面でも、時間がたつほど大変になるもの。相続人の誰かが引っ越したり、連絡が取りにくくなったりして、書類を集めるのに手間がかかるようになるからです。気づいた時点で動き出すのがいちばんです。
名義変更の流れ(4ステップ)
相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、太陽光パネルを引き継ぐ人を決めます。
戸籍や印鑑証明書などを集めます。公的な書類には有効期限があるので、届出の時期から逆算して取ります。
原則としてインターネットの電子申請で届け出ます。窓口はJPEA代行申請センター(50kW未満の太陽光の場合)です。
国の審査完了後に、売電の契約(電力会社)の名義も変えます。届出を出しただけでは、この手続きには進めません。
必要な書類
国への届出には、主に次の書類が必要です。
- 亡くなった方の戸籍(除籍)謄本(附票つき)
- 相続人全員の戸籍謄本 ※この2つは、法務局で取れる「法定相続情報」で代わりにできます
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書、または相続人全員の同意書
- 土地の権利を引き継いだことが分かる書類など

注意したいのは、公的な書類は、届出の日からさかのぼって3か月以内に発行されたものに限られることです(亡くなった方の戸籍・除籍謄本は除きます)。書類集めに時間がかかると、取り直しになることも。
もう一つ、見落とされがちなのが遺産分割協議書の書き方です。国の手続きの案内には、こう書かれています。
太陽光パネルは、建物付属設備として認められているものではないため、相続の際は、建物と別に明示したり、太陽光パネルを含む全てを相続対象とした記載とするなど、相続対象に発電設備が含まれていることが確認できることが必要です。
変更内容ごとの変更手続の整理表(JPEA代行申請センター)
言っているのは要するに、「家を相続した」と書いてあるだけでは、屋根の上の太陽光パネルも相続したことにはならないということです。協議書には、太陽光発電設備のことをはっきり書いておかなければなりません。
つまずきやすいポイント
実際のご相談でよくあるのは、次の3つです。
① 遺産分割協議書に太陽光のことが書かれていない
すでに協議書を作ってあっても、太陽光発電設備の記載がなければ、そのままでは使えません。この場合は「相続証明書」という書類を別に用意することになります。どちらの形で進めるかは、協議書の中身を見てから判断します。
② 相続人が多い、遠くに住んでいる
印鑑証明書は相続人全員分そろえなければなりません。人数が多かったり、遠方や海外に住んでいる方がいたりすると、全員分がそろうまでに時間がかかります。そろえている間に、先に取った書類の3か月の期限が切れてしまうこともあります。
③ 事業者IDとパスワードが分からない
電子申請には、亡くなった方が使っていた「事業者ID」とパスワードが必要です。分からなくても、相続人の側から照会(問い合わせ)できます。必要なのは、本人確認書類と戸籍謄本など。
このあたりから先は、ご家族の状況によって必要な書類や順番が変わる、ややこしい部分です。「うちの場合はどうなる?」と迷ったら、早めにご相談ください。
よくあるご質問
- Q.自宅の屋根にある小さな太陽光(10kW未満)でも、届出は必要ですか?
-
必要です。出力の大きさに関係なく、名義が変われば届出の対象で、住宅用の小さな設備も例外ではありません。
- Q.いつまでに届け出ればいいですか?
-
法律では「遅滞なく」届け出ることになっています。具体的な日数の期限はありませんが、放置すると行政処分の対象になることもあるので、相続が分かった時点で早めに動くことをおすすめします。
- Q.自分で手続きすることはできますか?
-
できます。ただ、相続人全員の書類をそろえ、期限内に電子申請をして、不備があれば修正に対応する必要があります。手間も時間もかかるため、途中からのご依頼も多い手続きです。
- Q.相続した太陽光パネルを売りたいのですが?
-
売却(事業譲渡)では手続きが変わり、国への変更認定申請に加えて、住民説明会などが必要になる場合があります。相続の手続きとの順番も含めて、ご状況に合わせてご案内します。
売却を考えている方は、こちらもご覧ください。

名義変更にかかる費用や、自分でやるか頼むかの判断は、こちらで詳しく解説しています。

相続した太陽光パネルの名義変更は、まずご相談ください
相続による太陽光パネルの名義変更は、売買に比べれば手続き自体はシンプルです。それでも、相続人全員の書類集め、協議書の書き方、事業者IDの照会と、つまずくポイントがいくつもあります。
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