フリーランスが見落としがちな契約リスクとは?“泣き寝入り”を防ぐ方法

フリーランスで仕事をしていると、自分のペースで働けたり、得意分野に集中できたりと、会社員にはない自由な魅力がありますよね。反面、いざトラブルに巻き込まれたときに、自分ひとりで対応しなくてはいけないという不安もつきまといます。その中でも見落とされがちなのが「契約書」や「契約条件」にまつわるリスクです。
「そもそも契約書を交わしていない」「口頭でOKをもらっただけ」「何となく相手に合わせてしまった」というケース、意外と多いのではないでしょうか。もちろん、仕事を受けるときにきちんと書面を取り交わせるフリーランスの方もいますが、実際には“なんとなく”や“相手を信用して”済ませてしまいがち。でも、後々になってトラブルが起きると、「口頭でそう言ってたじゃないですか!」「いえいえ、聞いていません」といった水掛け論に陥ってしまうこともあります。
ここでは、フリーランスが気をつけたい契約リスクや、万が一のときに泣き寝入りせずに済むためのコツを紹介します。
1. 「契約」があいまいなまま仕事を受けるリスク
(1)仕事の内容や範囲がわからなくなる
フリーランスの仕事には、業務委託契約や請負契約など、さまざまな形があります。たとえばデザイン案件ひとつ取っても、納品物の数や修正回数、追加対応などを明確に決めておかないと、お互いの認識にズレが生じがちです。
「最初は1枚だけのデザインだったのに、結局5枚分くらい作らされた…」「修正回数は2回までだと思っていたら、何度もやり直しを要求された…」。こんな状態になれば、想定以上に作業時間がかかり、コスト面でも大きな負担を背負うことになりかねません。
(2)報酬トラブルが起きやすい
フリーランスで特に多いのが、報酬の未払い問題や支払い遅延です。「検収が終わらないからまだ振り込めない」「今回の案件は予算オーバーだったので報酬を下げたい」と、一方的に言われてしまうケースも珍しくありません。契約書がなかったり、条件を明確にしていなかったりすると、泣き寝入りする羽目になりがちです。
2. 事前に決めておくと安心なポイント
(1)仕事の具体的な内容・納品形態
- 納品物の種類(デザインなら何点か、テキストなら何文字か など)
- 納期と納品方法(メール添付か、チャットツールか、クラウドストレージか)
- 修正・追加の範囲(無料修正は○回まで、など)
これらを明文化しておくと、「そんな話は聞いてない」「いや、言いましたよね」の水掛け論を防ぎやすくなります。とくに作業範囲を広げる追加依頼が出たときは、その都度書面やメールで合意を取るのがベストです。
(2)報酬と支払い時期
- 報酬額(税込か税抜か、源泉徴収の有無はどうするのか)
- 支払い方法と期限(銀行振込なら何日以内に支払うか、着手金・中間金を設定するか など)
報酬トラブルを予防するには、上記の情報をはっきりさせておくことが大事です。プロジェクトの途中で大幅に仕様変更があった場合は、その分の追加報酬について協議する、といった文面を契約書に入れておくのも有効です。
(3)契約形態の区別
フリーランスの仕事には大きく「請負」と「準委任(業務委託)」の二つがあります。
- 請負:成果物を納品して対価を得る形
- 準委任(業務委託):特定の作業やサービスを提供する形
デザインやプログラミングなど成果物を納品する仕事は「請負」、コンサルティングやメンテナンス作業は「準委任(業務委託)」になることが多いです。どちらを採用するかで、法律上の責任範囲やリスクが変わってくるので、相手と認識をそろえておくのは重要です。
3. 書面をかわさないまま仕事を始めてしまったら?
理想を言えば、上記のようなポイントを契約書という形でしっかり残すのがベスト。ただ、現実には「相手が急ぎで、まず着手してくれと言うから…」「ちょっとした作業だから書面なんて大げさ」などの理由で、気づけば口約束のままスタートしてしまうこともありますよね。
もし“すでに作業を始めてしまった”のであれば、せめて「確認メール」を送っておくことをおすすめします。たとえば、「本日お話しした内容は〇〇でしたね。納品物は〇〇で、納期は〇〇日まで。報酬は税込で〇〇円。もし違いがあればご指摘ください」といった具合です。
相手からOKの返事があれば、メール自体が口約束の補強材料になるので、トラブル時にまったく証拠がない状態よりはずっと安心度が増します。
4. 泣き寝入りを防ぐためのポイント
(1)証拠を残す
トラブルになりかけたときや、怪しい気配を感じたときは、なるべくメールやチャットの履歴、契約書のコピー、請求書や見積書などを整理しておきましょう。「このとき、こういうやりとりがあった」という客観的な証拠があるだけで、交渉を有利に進めやすくなります。
(2)早めに専門家へ相談する
報酬未払いが続いたり、相手が契約条件を大幅に変更してきたりして対処に困ったときは、弁護士などの専門家に相談するのも手です。フリーランスの場合、「もし交渉がうまくいかなくても、時間もお金もかかるし…」と諦めがちですが、放置すればするほど不利になることも多いです。
契約トラブルのケースによっては、内容証明郵便を出すだけで一気に話が進むこともあります。自分ひとりでモヤモヤ悩まず、早めに専門家を頼ることで“泣き寝入り”を回避する可能性が高まります。
(3)自分だけで解決しようとしない
フリーランスは孤独に陥りがちです。問題が起きるとすべて自己責任だと思い、「いや、契約書を交わしてなかった自分が悪いんだ」「相手に強く言えないし…」と引き下がってしまう方も多いでしょう。でも、相手が明らかに不当なことを言っているなら、まずは交渉の余地があるかもしれません。
友人や同業者に相談すると「それは絶対おかしいよ!」と気づかされることもあります。第三者の目から見ても理不尽だと感じるなら、専門家を間に入れることをためらう必要はありません。
5. トラブルを未然に防ぐ「契約書」のすすめ
フリーランス同士でも、仕事を仲介するエージェントや企業との取引でも、できる限り契約書を取り交わす習慣を持つことが大切です。内容さえしっかり盛り込まれていれば、A4一枚の合意書でも構いません。
相手が「契約書なんていらないでしょ」と言ってきても、自衛のために一歩踏み込んで提案してみてください。
たとえば、以下のような合意書(覚書)を簡単に作るだけでも安心度はグッと高まります。
- 仕事の内容や範囲
- 報酬の金額、支払期限、支払い方法
- 納期や納品形態
- 修正回数や対応範囲
- 契約を解除したい場合のルール
- 何か問題が起きた場合の話し合い方
相手の“人柄や信頼性”に頼るだけではなく、書面を通じてお互いの約束を確認することで、後からの認識違いや言った言わないのトラブルを回避しやすくなります。
6. まとめ:フリーランスだからこそ、契約を意識しよう
フリーランスで働くうえで、契約リスクを軽視してしまうと、報酬未払い・業務範囲の拡大・責任のなすりつけ合いなど、取り返しのつかない事態に陥ることもあります。特に一人で活動していると、「こんなことぐらいで大騒ぎしていいのかな…」と遠慮してしまい、結果的に泣き寝入りするパターンが非常に多いのが現状です。
しかし、契約書やメールのやりとりなどの“証拠”をきちんと残しておけば、「言った・言わない」の争いを回避できますし、不当な要求にも毅然と対応できるようになります。おかしいと思ったら早めに専門家を頼ることだってできるのです。
フリーランスは会社員と違い、周りに守ってくれる制度や人が少ない反面、自分の判断ひとつで“予防策”をしっかり講じることができます。「契約なんて堅苦しい…」ではなく、未来のトラブルを防ぐ大事な仕組みととらえて、ぜひ積極的に活用していきましょう。
あなたの仕事がスムーズに進み、安心して実力を発揮できる環境づくりに、契約書は欠かせない要素です。もし不安があれば、気軽に専門家への相談を検討してみてくださいね。
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