AIだけにお任せは危険!?実際にAIで契約書を作っている行政書士が語る「落とし穴」とは

私は行政書士として、日頃から生成AIを使って契約書の作成をしています。最先端のテクノロジーを使えるのは本当に便利ですし、私自身も「こんなに早くドラフトができるなんて!」と驚くことがよくあります。
しかし、実際に運用している立場から言わせてもらうと、「AIだけにまかせきり」で契約書を作るのは非常に危険です。なぜなら、法的な知識を持つ私ですら、生成AIが出してくれた文案をそのまま使うのは怖いと思うくらい、“抜け漏れ”が多いから。
本記事では、日々AIを活用しながら感じている“契約書作成の落とし穴”について、なるべく中学生でもわかる言葉で詳しくお話ししていきます。契約書づくりの際に気をつけるポイントをしっかり押さえて、あなたの大切なビジネスを守りましょう。
私が生成AIを使う理由と、その“限界”
1. AI活用のメリット
AIを積極的に導入しているのは、やはりスピードと作業のしやすさが大きいです。
たとえば「秘密保持契約(NDA)」を作りたいとき、AIに対して“こんな業種で、こういう条件を入れたい”とお願いすると、ある程度のドラフトを数秒~数十秒で生成してくれます。
そのうえ、表現や言い回しのパターンをいくつも示してくれるので、人力だけでゼロから作るよりも圧倒的にスピーディー。時間と労力を節約できるのはとても魅力的です。
2. それでも「AI任せ」は怖い
ところが、便利な反面、AIが出した原案にはどうしても穴があるのです。法律の知識を持ち、これまで様々な契約書を作ってきた人間からすると、「うーん、この条文だけだと足りないな…」「この条項では、依頼者の不利になってしまう…」と感じることがしょっちゅうあります。
なぜ抜け漏れが起こりやすいかというと、AIは膨大なデータをもとに学習しているとはいえ、きちんと必要な情報をAIに伝えない限り、あなたのビジネスの特殊な事情まで100%推測できるわけではないからです。
また、最新の法改正や、微妙に異なる業界の慣習をリアルタイムで完璧に学習できているわけでもありません。(※最新情報も参照できるやり方もあります)
「AI=完璧な頭脳」と思われがちですが、実際には“使い方次第”で正解にも間違いにもなり得る存在だと痛感しています。
AIだけに頼ると、こんなに危ない!5つの落とし穴
落とし穴1. 法改正への対応が遅れる
法律はしょっちゅう改正されます。
とくに労働契約や個人情報保護法まわりなどは、年をまたぐごとに大きく改正が入ることもしばしば。一方、AIが学習しているデータは、必ずしも最新の法改正情報をリアルタイムで反映していません。
たとえ「最新バージョンのAI」を使ったとしても、その学習データのアップデートが追いついていないケースがあるのです。
結果として、「もう昔の条文をそのまま使っている」「とっくに変わった法解釈が載っている」といったことが起きる可能性があります。知らずに契約を締結してしまうと、いざ問題が起きたとき「いや、この条文だと法改正前のルールに則っているから効力があやしい」という事態にもなりかねません。
落とし穴2. 個別の事情を踏まえきれない
契約書は“ひな形”をベースに作られることが多いですが、実際には「企業独自の取引内容」「当事者間の特別な約束」などがたくさんあります。
AIは“標準的なもの”を提示するのは得意。それが故に当事者の細かな状況まで考えずに契約書を作成してしまう傾向があります。
AIから出力されたドラフトを見て「これだと不十分だな」と思うことはよくあります。結局、人間がその会社の背景やビジョンをヒアリングし、そこに合わせて条文を足したり修正したりしないと、リスクが取りこぼされてしまうのです。
落とし穴3. 言い回しの微妙なズレが命取り
契約書は漢字一文字、助詞一つの違いで意味が変わるシビアな文書です。
AIは自然言語処理が得意とされていますが、ときに「ちょっとニュアンスが変だな」「ここの言い回し、不自然で逆解釈されるかも」と感じる例も。
ほんの少しの違いでも、当事者にとっては大問題になる可能性があるのです。
落とし穴4. 最新AIでも万能ではない
巷には「最新バージョンの生成AIならイケる」「高額なAIサービスを使えば間違いない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、実際に色々なAIを使ってみて感じるのは、「学習データが豊富なAIほど、それらしい文案を出してくれる反面、完全に間違っていることも堂々と書いてくる」ということ。
AIはどこまでいっても、人間の最終チェックを前提として利用するものだと考えたほうが賢明です。
落とし穴5. 最終的に責任を負うのは利用者
もしAIが作った契約書をそのまま使って問題が起きても、AIが責任を取ってくれるわけではありません。
契約当事者同士が揉めた場合、最終的に裁判になることもありますが、そこで「AIに作らせました」と言って通用するわけではないのです。
結局は、「作った契約書の内容を理解・承認して署名捺印した当事者」が責任を負うことになります。
「生成AI+人間」の組み合わせで対策
ここまでリスクを挙げてきましたが、「じゃあAIは使わないほうがいいの?」というと決してそうではありません。
私自身、生成AIの効率化効果は素晴らしいと感じていますし、作業スピードが劇的にアップするのは事実です。
大事なのは、「AIを使う」=「丸投げ」にならないようにすること。
私は以下のような手順で契約書を作成しています。
- AIに細かく条件を説明してドラフトを生成
- まずはAIに初期案を作成してもらいます。
- 行政書士の視点でチェック・修正
- 私が法律面・リスク面を検証し、「この条文が抜けている」「この表現はトラブルのもと」といった点を直します。
- 最終的に依頼者とやりとりしながら微調整
- 依頼者の修正希望や追記希望を聞きながら、AIのドラフトではカバーできていない要素を追加。
- 完成した契約書を再度読み合わせ
- 最後の最後まで「ここは誤解されないかな?」と確認。文字遣いや用語の定義を明確にし、リスクを最小限におさえます。
このプロセスを踏むことで、AIの便利さと人間の知識や経験を両立させ、スピード×安全性を両立できるんです。
よくある「AIおまかせだけど大丈夫?」という不安は、こうした“二段構え”を行うことで解消できます。
AIの力を上手に活かすための3つのポイント
- AIのアウトプットを疑ってかかる
- AIが出した文章を、そのまま信じない。あくまで“素案”として扱い、必ず人間が目を通す。
- 定期的に法改正情報を確認
- 労務関連や消費者保護など、重要な法律の変更点は見落としがち。自分でニュースや専門家の情報を収集し、AIのドラフトを更新する。
- 業種・ビジネス形態に精通した人に相談する
- AIは業種特有の慣習や過去の判例を完璧に踏まえているとは限りません。実際の業務経験がある専門家に最終的な監修を依頼すると安心です。
まとめ:AIは「道具」であり「神様」ではない
普段から生成AIに触れて感じるのは、AIはあくまで「道具」だということです。
よく「AIが人間を超える」みたいな議論が出ますが、少なくとも契約書作成の現場では、まだまだ人間による最終調整が必須だと強く思います。
- 法改正への対応
- 業界ごとの慣習・リスクの洗い出し
- 言い回しやニュアンスのすり合わせ
これらは、データをいくら学習させても、ケースバイケースで臨機応変に判断する必要があります。そこにこそ人間の専門知識や経験が生きるのです。
「AIを使ったからもう大丈夫!」ではなく、「AIのドラフトを人間がしっかり仕上げる」という姿勢が、あなたのビジネスを守るうえでもっとも重要だと私は考えます。
最終的な責任を負うのは私たち“人間”なのですから、便利さだけを追求するのではなく、一手間かけて安全面を確保していくことが大切です。
結論:AIは頼れる相棒、でも丸投げは危険
- AIに任せっきりでは「古い情報」や「独自のリスク」を見逃すかも
- 肝心の責任は、AIではなく契約当事者に降りかかる
- “AI+専門家”の組み合わせこそがベスト
もしあなたが「とりあえずAIに作ってもらおう」と思っているなら、一度立ち止まって考えてみてください。どんな契約書でも、ちょっとした条文の抜けや誤記が、大きなトラブルに発展する場合があります。
後から「しまった!」とならないためにも、AIの力を借りつつ、必ず人の目で最終確認・修正をする。
それが、実際にAIを利用している者として、心からおすすめしたい使い方です。
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